【小説】『屍鬼』小野不由美_丁寧な世界観作りで勝利したホラー
オススメ度★★★★☆
正直、あまり読書をしない人にはオススメできない。
だが、ある程度小説を読める人には是非オススメしたい。
読者を選ぶ小説ではあると思う。
まず、どうして読書をしない人にはオススメできないのか述べる。
- 長い…長すぎる………。文庫にして全5巻。読了にかなりの時間を要した。
- 序盤の世界観描写。舞台となる外場村とそこに住む人々の暮らし、風習・慣習、心情、などがこれでもかと語られている。飽きる人は飽きる。
- 作中作として出てくる小説が宗教的で小難しくて読み飛ばしたくなる。
- ストーリーの進行が遅い。1巻の最後でやっと動き出す。
- 登場人物がめちゃくちゃ多い。「あれこの人、何の誰だっけ?」と何回なっただろうか。
転じて、上記はある程度読書する人にはオススメできる理由でもある。
- 長い間、屍鬼の世界に浸っていることができる。慣れるとずっと読んでいたい。
- 確かに序盤の必要以上とも言える描写で辟易するところはあるが、このおかげで外場村に入り込んだかのように鮮明に、場面をイメージできるようになる。
- 作中作を通して主人公の心の空洞が沁みてくる。まるで自分が主人公になったかのように。
- ストーリーが動き出してからが超面白い。人がバッタバッタと死んで、そのあとの………。まるでジェットコースターのように、登りを一生懸命に我慢して、下りでダーっと面白い。
- 色々な考え方の登場人物が出てきて、それぞれが屍鬼の世界を形作っている。
ということで、序盤は退屈かもしれないが、どんどん面白くなる。
ただ読者を選ぶとは思うので、★5はつけられないが、私は非常に好きな部類の作品であった。
ちなみに、漫画化もされているのでこちらも読んでみたい。